弱くてもいい。自分を認めることが必要だ。
7月も折り返し地点となりました。このメールマガジンを書いていて思うのは、1ヶ月ってなんと過ぎるのが早いことよ、ということです。
書いてお届けしているのは、たった月に2回のこと。されどその2回が時の早さを実感させてくれます。同時にこうして書いて届けて共有することは、自分にとって立ち止まる時間になっているのでありがたいことです。これを届けているあなたにもそんな時間になってくれていたら良いのですが。
先月から、話題の書籍『弱さ考』をゆっくりペースで読んでいます。総ページ数が300近くあり、しっかりと向き合いながら読むボリュームです。そして本を早いペースで読めない私は、毎週毎週ゆっくり読んでいて、ようやく半分に到着といったところでしょうか。
さて、この本をご存知ない人に、簡単に本の概要を話します。著者は、経済メディア「NewsPicks」の出版部門「NewsPicksパブリッシング」の創刊編集長をされていた井上慎平さん。
これまでに出版社のディスカヴァー・トゥエンティワン、ダイヤモンドを経て前述のポジションに抜擢された編集長さんです。
レーベルの創刊はもとより、NewsPicksはいわゆるザ・スタートアップ。スタートアップはとにかく激流です。形がないものを形があるものに生み出すため、とんでもないスピード感で日々が動きます。事業説明・承認・決裁などにいちいち時間をかけていては生み出せないため、超スピーディ。謎の根回しとか、ハンコリレーなど存在しません。そして、作っては壊して、壊しながら直して走り、新たなものを生み出す感じです。
フルリモート・フルフレックス(1日、あるいは月間の就業時間が固定されていない)・残業は少ない・子育てとの両立がしやすい、といういわゆる出社大原則、席について仕事をしている時間が仕事だ、みたいな従来の働き方から脱しています。一方で、自由がゆえ残業が少ないがゆえ、日々の業務は途切れ目がなく、過密。
チャットが乱立し、Webミーティングで1日が埋め尽くされ、自分の作業をする時間がない。フルフレックスだと相手の勤務時間と自分の勤務時間が全く異なることがある。するとミーティングの時間を重ね合わせるのすらが至難の業だったりします。トイレに行く時間や食事に行く時間すらまともになくて、ミーティングをしながら食べたり飲んだり、保育園の玄関前でスマホでミーティングに入っていたなんてこともしばしば。
なんでこんなこと書いているかというと、それは私の前職がスタートアップだったため、まさに井上さんと同じような働き方をしていたのですね。「わかるわかる」と思いながら一連の出来事を読んでいました。
と、いささか脱線しましたが、そんな激流の環境ですとオン・オフのスイッチを相当意識的に設けないと一年中アドレナリンが出っぱなしになってしまい、だんだんと心身が疲弊していきます。実際に前職の同僚たちもオンオフのスイッチの切り方に試行錯誤していたので、スタートアップは、リモートワーク、スピードワークのメリットがある一方で、こうしたデメリットや悩みもあるなと思っていました。
同様に井上さんも、レーベル立ち上げ後は順調に突っ走っていたようですが、だんだんと心身が不調に陥り、徐々に休む頻度が増え、ついに休職することに。「双極性障害Ⅱ型」と診断されます。「双極性障害」とは「そう」状態と「うつ状態」に交互に見舞われる症状です。現在もその症状は寛解しておらず、井上さんは今年ご退職されました。
これだけを書くと、一人の「心身バランスを崩しちゃった人」の話なのですが、この本の興味深いところは「社会において弱音を吐くことができない、あるいは弱い自分であることを声高に伝えることができない。それは経済・社会が成長することを前提とした仕組みになっており、成長すること=前向きで強くなくてはならないからではないか」という疑問を投げかけていることです。
本のサブタイトルは「強いビジネスパーソンを目指して鬱になった」であり、そんな井上さんが休職期間中に考えたことがまとめられています。
このお話は何もビジネスパーソンじゃなくたって誰しも共通項があるのではと思っています。
「人間は成長しつづけないといけないのか」
ーーいえ、そんなことはないですよね。失敗だってするし、マイナスだってあるし、損失だってありますよ。
「常にポジティブでいないといけないのか」
ーーそんなことないですわ、毎日気分はグラグラ、波がありますよ。社会に出るとフラットではなくてはならないのでしょうけれど、それでも波はあります。見せないようにしているだけで裏ではしくしく泣くことだって、ありますもの。「今日ちょっと辛くって」って言えたらいいのだけど。
「結果を出さなければ意味がないのか」
ーー仕事だって、家事だって、子育てだって、結果が出るかなんてわかりません。特に子育て家事なんて「なにをもって結果が出ているか」なんてわからないですよね。でもついつい「誰かと」「何か」と比べては落ち込んでしまう。だれも「こうしろ」って言っていないのにね。
大人になることは、ものごとの年齢を重ねることは、子どもよりも、これまでのことよりも、成長しなくてはならないのでしょうか?
経済の話をすると、とある40代の社長とお話をした時に「うちは成長をすることではなく、このちょうどいいを維持することが適しているなと思っている」と話されていて、驚いたことがありました。いわゆるスタートアップなのですが、すでに創業15年を迎えている会社で、これだけ続いているならば成長を見越していくのかな?と勝手に予想していた私の考えを見事にくつがえされた感じです。
社会・経済から切り離して、ただの一人の人に置き換えて考えてみたら、友達と喧嘩して、永遠に続くと思っていた関係が途切れた、子育てに失敗したり、パートナーシップがうまく行かない、恋愛がうまく行かない、将来設計が見えないとかなんだかんだいいことばっかりじゃないことは色々ある。
家計簿つけてみたら赤字なこともあれば、黒字のこともある。貯金したいな〜って思っていても、頑張っても貯金できないこともあるし。
そして人間は身体面で衰退する日が来るのです。ということは成長曲線だけは全てではないということなんですよね。
「成長しなくてはいけない」「常にポジティブでいないといけないのか」「結果を出さなくてはならない」
これらは、きっと「こうあるべき」という自分へ過信、執着、焦りから湧いてくる感情なのかもしれません。人はできないこと、弱い自分を受け入れることが結果的に強さの源になっている、私はそう思います。病気じゃなくたって、弱い自分のピースは誰しも必ず持っている。弱くたっていいじゃん。
「自分に期待をしすぎないこと」
「弱い自分でいいと思うこと」
「弱い自分だからこそ、誰かに助けを求めること」
柳のようにいれば折れることは少ないし、揺れて戻ってくることはできる。そして、少しづつ力をつけて、緩やかに確かに生きていけば、ふり返った時に意外と力強く成長しているかもしれない。
この「かもしれない」くらいの心持ちがちょうど良いのではないでしょうか。
頑張りすぎない、でも折れない。弱い自分だからこそ描ける世界があると私は思っています。
※このレターは月2本、毎月1日と15日に配信予定です。1ヶ月の始まり、折り返しとなる15日に自分の内側をふり返る。私にとっても読み手の方にとってもそんな時間となるように願っています。
■ニュース
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病院に行くほどではないけれど、どこか心の中がすっきりしない。上手く声にならないあなたの思いを聴くサービス 「対話の時間」と「保健室」を開いています。
話したいことは、あなたが決めて大丈夫。ここで話してはいけないことはありません。密やかなことを話すため「ここに来たよ」と公にしたくない方が多いのですが、勇気をもって扉をノックしてくださり心からありがとうの気持ちでいっぱいです。
なんだか気になるな、という方はまずはサイトをのぞいていただけたらと思います。
書きたい人のための保健室:https://note.com/kaoru_ngm/n/n41ce4c68a508
対話の時間:https://note.com/kaoru_ngm/n/n68da5371d79a
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発行人:日々の声 永見 薫https://kaorunagami.com/
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